今の自分があるのはダンスのおかげだ、とつくづく思う。
自分を人間としてここまで成長させてくれたのはダンスに他ならない。
ダンスを始めた当初、新しいステップを踏めるようになると楽しく、ちょっとした競技会で勝つと嬉しくて徐々にダンスにハマっていった。
だがプロになるとそんな事は長くは続かない。
そんな事は承知の上。
それでもプロになって最初の頃はまだマシ。
ちょっと努力すれば欲しいものは比較的手に入る。
だがクラスが上がると理想と現実とのギャップにもがく日々が続く。
トップを目指せば目指す程、自分の思い通りにならない事に思い悩み苦しむ。
世界を目の当たりにするとなおさら。
今まで自分がやって来た事はなんだったんだろうとさえ思う。
だが、そんな絶望感に襲われるような日々の中にも嬉しい事は少なからずあったりする。
「素敵なダンスでした。」って声をかけられたり、苦悩を共にする仲間と食事に行ったり、練習でトライしてる事が出来る様になったと思える瞬間だったり。
人は苦悩の中で嫌でも成長して行く。
それが財産。
努力した人だけが得られる財産。
自分をここまで成長させてくれたダンスに感謝。
そして選手を退いた今は、後進を育てる事でダンス界に恩返しするのが自分の使命だと思っている。
スタッフや弟子にはこう伝える。
「あなた達が間違った方向に行かないようライトを照らして導いてあげるのが自分の役目。だから迷わず今の道を進みなさい。でも、前へ進んで行くのは自分の力しかないのだよ。」と。
上手く伝わっているだろうか?
たとえ今は反発されても、自分と同じような年齢になった時にはきっとわかってくれるのだろうか。
そんな事を思いながら若きダンサー達の日々の成長を楽しくそして愛おしく見守っている。
きっとこの瞬間もダンスに成長させてもらっている自分がいるのだと思う。
ダンスに感謝。
そして恩返しをして行こうと思う。