元宝塚の振付師Y先生が「間違っていることを間違いと知らずにやるのはだめだが、間違いと知っていてわざとやるのは良いんだよ。」とおっしゃったことがあった。もちろんこれはダンスの技術に関する話であり法律を破れと言う話ではない。
自分たちのサンバのリバースロールを見て、「1歩目の膝をより深く曲げ5歩目を上に伸び上がるようにして高低差のある踊り方にチャレンジして見なさい。」とアドバイスして頂いた時に「既存のリバースロールの技術とはちょっと違うかもしれないけど、、」と続けておっしゃった言葉だった。
結局その既存とは違うやり方のリバースロールは完成するには至らなかったのだが、その言葉がやけに心に響いて今だに残っている。つまり既存のものでない新しいものを創造するには、時にあえて違うやり方をやってみるという考え方も必要なのだという事をY先生は言ったのだ。
ダンスは創造だ
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そういえば、ワルツのホイスクというステップはミスから創造されたステップだ。リバースターンの3歩目で本来足をクローズするべき所、勢い余って後ろへ交差してしまったのだがこれが案外いいステップだ、となったのが始まりらしい。まさに怪我の功名で出来たステップだ。
昔、自分の学生の時からの師匠M先生が「ドニーバーンズが黒色を見て、これは白色だ、と言ったら、俺も白色だと信じる。」と言った事があったがやはりトップダンサーは考え方が違う。そう考えるとダンスの可能性は無限で楽しい。
ダンスは芸術、芸術は創造。新しいものを創造するには自分のカンを〝信じる力″が大切なのだ。
(第6回 ダンスのキセキ)