2016年12月3日土曜日
第3回『キューバンロックス』
ルンバのステップにキューバンロックスというのがある。
自分の大好きなステップの中の一つだ。
自分が学生の時、当時のグレートチャンピオン、ドニーバーンズ&ゲイナーフェアウェザー組の踊るキューバンロックスがなんとも言えずカッコよかった。
キューバンロックスは非常にシンプルなステップだ。
というか実際に足を動かすようなステップはしない。
右足から左足、左足から右足への体重移動だけで音楽に乗って踊る。
ドニー&ゲイナー組が踊っていたキューバンロックスは、
ベーシックムーヴメントからの3歩目で
男性左へわずかに身体を開きながら左足後退、女性左へわずかに身体を開きながら右足前進、
そこからキューバンロックスが始まり、
カウント2.3で男性右足体重、4.1で左足体重、
次いでシンコペーシッドカウント2&3.4.1で
男性右足(2)左足(&)右足(3)左足(4)と踊る。(女性はその逆を踊る。)
ドニーバーンズのゆったりした体重移動と、ドニーバーンズの体重移動を受けてわずかに遅れて体重移動をするゲイナーが織りなす絶妙なハーモニーが素晴らしかった。
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踊り手からして見れば足数の少ない簡単なステップ程難しいものはない。
しかもキューバンロックスは体重移動だけで音楽を表現しなくてはならないからなおさらだ。
かつて自分は宝塚歌劇団の振付け師Y先生に社交ダンスのレッスンをつけてもらってた時期があった。
「簡単なステップ程難しい顔をして踊れ、そして難しいステップ程簡単な顔をして踊れ!」とおっしゃったY先生の言葉に深く感嘆したのを覚えている。
早いカウントで何歩も足を動かすような複雑なステップ程簡単で涼しげな表情で踊って、キューバンロックスのようなほぼ足型のないような簡単なステップ程難しい険しい表情で踊る。
顔の表情だけだとニセモノっぽくなってしまうかもしれないが、身体の中の動きに意識を集中して、足裏、内腿、腸腰筋、溝落ち、肩甲骨、鎖骨など身体の各パーツの変化を起こしながらゆっくり体重移動を行うと実際難しい険しい表情になる。
つまりY先生がおっしゃっりたかった事はこういう事なのだ。
ゆっくり体重移動と言えば、かつてのラテンチャンピオン、ブライアンワトソンに「5分間かけて右足から左足に体重移動しなさい」と言われた事がある。
ダンスでは、体重移動、ここにいっぱいヒントが詰まっている。
(第3回 ダンスのキセキ)
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